HOME
ご利用規約
当サイトについて
運営者情報
お問合せ
日本株式市場の見通し:2025年8月時点
本プレゼンテーションでは、2025年8月時点における日本の主要株価指数の適正価格について、ファンダメンタルズに基づいた分析をご紹介します。国内インフレの定着とコーポレートガバナンス改革という追い風が、世界的な通商政策の不確実性と米国経済の減速という逆風に晒される複雑な市場環境を分析します。
エグゼクティブ・サマリー
3,100
TOPIX適正価格
適正レンジ:3,000~3,200ポイント
43,500
日経平均適正価格
適正レンジ:42,000~45,000円
-1.1%
2025年度EPS成長率
一時的な落ち込み
+7.5%
2026年度EPS成長率
国内需要主導の回復
この評価は、日本経済がデフレから完全に脱却し、企業が
資本効率を重視する経営へ
と転換しつつあるという構造変化を織り込んでいます。日本株式市場は転換点を迎え、持続的な成長軌道に乗る可能性が高まっています。
世界経済の背景:
不確実性の中での航海
世界の成長軌道
世界経済成長率:2025年2.3%、2026年2.4%
「貿易の分断」という構造的変化
米国経済
2025年GDP成長率:+1.3%~+1.9%
「非同期の減速」へと移行
FRBの綱渡り
金融政策の不透明感が長期化
経済への重石
関税の影響
サプライチェーンの混乱
2025年度TOPIXのEPS:前年度比1.1%減少
世界経済は減速傾向にある中、
米中間の通商摩擦
や金融政策の不確実性が日本企業の短期的な業績見通しに影響を与えています。しかし、この逆風は一時的なものと捉えています。
日本経済:
進行する構造転換
安定インフレへの道筋
2025年度コアCPI:2%台前半~半ば
2026年度コアCPI:1%台後半
2%の物価目標実現へ
国内成長の牽引役
実質GDP成長率:2025年度+0.5%、2026年度+0.8%
「二層構造の経済」
輸出主導の製造業が伸び悩む一方、個人消費やインバウンド観光に支えられた非製造業が景気を牽引
日本銀行の正常化
2026年初頭までに政策金利:1.0%程度
10年物国債利回り:1.7%~1.8%程度
「金利ある世界」への移行
日本経済は
30年続いたデフレからの脱却
という歴史的な転換点にあります。賃金上昇と安定したインフレ率は、企業収益の質的な変化をもたらし、内需の底堅さが海外環境の不確実性を相殺しています。
企業収益のエンジン:
回復力と改革
2025年度
外部環境悪化で一時的な減益
EPS成長率:-1.1%
2026年度
国内経済の力強さを背景に回復
EPS成長率:+7.5%
回復の「質」
国内経済連動セクターが大きな役割
2026年度の利益成長は、
金融、不動産、建設、サービス
といった国内経済の動向に業績が連動するセクターが大きな役割を果たすと予想されます。これは日本経済の内需主導の回復を反映しており、過去の輸出主導型の回復パターンとは質的に異なります。
ガバナンス・プレミアム:
内部からの価値創造
43%
PBR1倍未満企業
プライム市場上場企業の比率(47%から低下)
9.15%
ROE中央値
プライム市場上場企業(8.57%から上昇)
20%
トヨタROE目標
時価総額最大企業の高い目標設定
東京証券取引所が上場企業に対し「
資本コストや株価を意識した経営
」を要請して以降、企業行動には明確な変化が見られます。この改革は日本株のバリュエーションが構造的に底上げされる根拠となります。日本企業は株主還元策の強化と同時に、持続的な成長のための投資も積極化しています。
日本株の適正価格の導出
適正価格の算出
2026年度EPSに適正PERを適用
TOPIX:3,100ポイント(3,000~3,200)
日経平均:43,500円(42,000~45,000)
PERの適正水準
15.0倍~16.0倍のレンジ
2026年度に+7.5%のEPS成長
ガバナンス改革によりERPが低下
金利上昇環境下のERP
エクイティ・リスク・プレミアムの低下
ERP低下と金利上昇を考慮
10年物国債利回り:1.7%程度まで上昇
適正価格の導出では、
コーポレートガバナンス改革
の進展によるエクイティ・リスク・プレミアムの低下と、金利正常化による割引率への影響を慎重に評価しています。企業の構造改革と資本効率の向上がPERの下支え要因となります。
シナリオ分析
ブルケース
世界の協調と国内景気の加速
日経平均:47,500円
TOPIX:3,400ポイント
2026年度EPS成長率:+10%超
米中通商摩擦が恒久的合意に至る
実質賃金の上昇が加速
ベースライン
緩やかな回復と適度な上昇
日経平均:43,500円
TOPIX:3,100ポイント
2026年度EPS成長率:+7.5%
世界経済の減速と国内需要の底堅さ
ベアケース
世界的な景気後退と政策の失敗
日経平均:32,500円
TOPIX:2,300ポイント
2026年度も大幅な減益
日銀の急激な金融引き締め
世界的な貿易戦争が再燃
各シナリオの実現確率は、ベースライン60%、ブルケース25%、ベアケース15%と評価しています。
国内経済の底堅さ
と
企業改革の進展
がベアケースの確率を抑制しています。
EPS・PERの前提別 適正価格マトリックス
このマトリックスは、EPSとPERの前提を変動させた場合の、両指数の理論株価の感応度を示したものです。ベースラインシナリオでは、2026年度TOPIX EPSを200.7円、適正PERを15.5倍と想定しています。
感応度分析によれば、
PERの1倍の変動
は日本株式市場の評価に約7%の影響を与えます。企業収益の変動に対する感応度はさらに高く、EPS予測の5%の変化は市場評価に同程度の影響をもたらします。
戦略的展望と結論
市場評価
「緩やかな上昇余地を持つ、概ね適正な水準」
現在の日本株価水準は、短期的には若干割高感があるものの、中長期的には上昇余地を有すると評価します。
投資スタンス
中立(ニュートラル)からやや強気(スライトリー・オーバーウェイト)
短期的な外部リスクを考慮しつつも、構造改革の進展と内需の底堅さから、徐々にポジションを積み増すことを推奨します。
セクター選好
内需関連セクター(金融、不動産、サービス)を相対的に重視
国内経済の回復力と賃金上昇の恩恵を最も受けるセクターに投資機会があります。
コーポレートガバナンス改革
と
デフレ脱却
という二つの強力な構造的追い風が、市場の下値を支える一方、世界経済、特に米国の通商・金融政策という外部環境に起因するリスクが、短期的な上値を抑制する要因となっています。投資家の皆様には、この転換期における日本株式市場の構造変化を長期的な視点で捉えることをお勧めします。