HOME
ご利用規約
当サイトについて
運営者情報
お問合せ
アメリカのプライベートバンクを日本人が利用するためのガイド
日本在住の方がグローバルな資産運用を目指すなら、米国のプライベートバンクは魅力的な選択肢です。しかし、非居住者にとって口座開設には高いハードルが存在します。本サイトでは、日本人が米国のプライベートバンクを活用するための方法と代替策を詳しくご紹介します。
口座開設の大きな壁:
SSNと高額な最低預金額
社会保障番号(SSN)の壁
米国の銀行で口座を開設する際、多くの場合、社会保障番号(SSN)または納税者番号(ITIN)の提示が求められます。日本在住でこれらの番号を保有していない場合、口座開設手続きは極めて困難です。過去には一部の銀行で非居住者向けの口座開設プログラムがありましたが、現在ではそのほとんどがサービスを終了しています。
高額な最低預入額
プライベートバンクは富裕層向けのサービスであり、口座を開設するには極めて高額な金融資産が必要です。米国の主要なプライベートバンクでは、最低預入額が
1,000万ドル(約15億8,000万円)
に設定されていることも珍しくありません。比較的低い場合でも、数百万ドル(数億円)の預け入れが求められます。
これらの条件は、一般的な投資家にとって大きな障壁となっています。しかし、本当にアメリカのプライベートバンクを利用する必要があるのか、代替手段はないのかを検討することが重要です。
米国の主要プライベートバンク
上記の表は米国主要プライベートバンクの最低預入額の目安です。これらの金額は顧客の状況や銀行の方針により変動する場合があります。各銀行によって提供されるサービス内容や特徴も異なりますので、ご自身のニーズに合った金融機関を選ぶことが重要です。
最低預入額の高さは、これらの金融機関が超富裕層向けに特化したサービスを提供していることの表れです。
これだけの資産を預けることで、一般の銀行では得られない専門的なアドバイスや投資機会にアクセスできるのが特徴です。
現実的な3つの選択肢
日本国内の外資系プライベートバンクを利用する
最も現実的で一般的な方法です。日本国内ではスイス系のUBSやロンバー・オディエなどが富裕層向けにプライベートバンキングサービスを提供しています。これらの金融機関は世界的なネットワークを持ち、日本の拠点を通じてアメリカを含むグローバルな金融商品への投資や資産管理サービスを受けることが可能です。
日本人向けサービスを提供する米国の銀行を利用する
ハワイの「セントラル・パシフィック・バンク」のように、日本人や日本在住者向けに特化したサービスを提供している米国の銀行も存在します。これらの銀行は、プライベートバンキング専門ではありませんが、SSNなしでの口座開設に対応している場合があります。
米国移住・長期滞在を通じて利用する
米国に赴任、移住、あるいは長期滞在し、SSNを取得した上で、現地のプライベートバンクにアプローチする方法です。これは最も直接的ですが、ライフプランそのものを変更する必要があるため、誰にでも可能な選択肢ではありません。
これらの選択肢の中から、ご自身の資産状況やライフプラン、投資目的に最も適した方法を選ぶことが重要です。特に、日本国内の外資系プライベートバンクは、グローバルな投資機会へのアクセスと日本語でのサポートを両立できるため、多くの富裕層に選ばれています。
口座開設後の注意点:
FBAR(外国金融口座報告)
FBARとは何か
仮に米国の銀行口座を保有できた場合、米国の税法上の居住者でなくても、年間を通じて合計1万ドルを超える金融資産を米国外(日本人にとっては日本国内の口座など)に保有している場合、米国財務省の金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)に対して
FBAR(Report of Foreign Bank and Financial Accounts)
を通じて報告する義務が生じる可能性があります。
専門家への相談の重要性
この点は、事前に専門家へ確認することが不可欠です。税務や法律の専門家に相談し、自分の状況に応じた適切なアドバイスを受けることで、将来的なトラブルを回避することができます。
現実的なアプローチ
結論として、日本にいながらアメリカのプライベートバンクの高度なサービスを享受したい場合、まずは日本国内でグローバルなサービスを展開する外資系プライベートバンクに相談することが最も現実的かつ効果的なアプローチと言えるでしょう。
個人納税者番号(ITIN)の取得
01
ITINが必要となる理由
一部の米国銀行が非居住者の口座開設(特に利息が発生するもの)に際し、IRSへの税務報告を円滑化するために要求します。
ITINは税務報告専用であり、米国での就労を許可するものではありません。
02
W-7フォームによる申請プロセス
IRSフォームW-7「個人納税者番号申請書」を提出します。例外が適用されない限り、有効な米国連邦所得税申告書と共に提出する必要があります。外国籍であることと本人確認の証明を提出する必要があります。
03
処理期間
通常7週間、繁忙期(1月15日~4月30日)や海外からの申請の場合は9~11週間かかります。計画的に余裕を持って申請することをお勧めします。
04
日本における認証代理人(CAA)の利用
CAAは、IRSによってITIN取得希望者を支援する権限を与えられています。CAAの役割:W-7フォームの記入支援、証明書類の認証、IRSへの申請パッケージの転送などです。
ITINの取得は時間と労力を要するプロセスですが、米国の金融システムにアクセスするための重要なステップとなります。専門家のサポートを受けながら、正確に手続きを進めることをお勧めします。
日米租税条約に関する考慮事項
所得税条約
二重課税の排除と脱税の防止を目的としています。一方の国から他方の国の居住者に支払われる配当金や利子などの所得に対する源泉徴収税率を軽減します。
配当金の税率
米国源泉の配当金が日本居住者に支払われる場合、条約税率は一般的に
10%(ポートフォリオ配当)
、特定の親子会社間配当の場合は0%または5%です。
遺産税・贈与税条約
日本は、米国が遺産税・贈与税条約を締結している数少ない国の一つです。この条約は、資産の所在地を決定するための規則を定めており、二重課税を軽減するための制度も提供しています。
利子の税率
米国源泉の利子が日本居住者に支払われる場合、条約税率は一般的に10%ですが、
金融機関が受け取る利子や銀行預金利子は免税(0%)
となる場合があります。
日米租税条約は、米国の金融サービスを利用する日本居住者にとって重要な税制上のメリットを提供しています。条約の適用を受けるためには、適切な書類(通常はW-8BENフォーム)を金融機関に提出する必要があります。
これらの税制上の恩恵を最大限に活用するためには、日米両国の税制に精通した専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。租税条約の正しい理解と適用は、国際的な資産運用における税負担を適正化する上で非常に重要です。
米国プライベートバンクが提供するサービス
投資管理
グローバル株式、債券、オルタナティブ投資、仕組商品など幅広い投資ソリューションを提供します。
一般の投資家にはアクセスできない特別な投資機会
にも参加できることが大きな魅力です。
銀行サービス
預金業務、決済、デビット/クレジットカード、多通貨口座、国境を越える資金移動などの高度な銀行サービスを提供します。グローバルな資産管理に必要な銀行機能が充実しています。
包括的なウェルスマネジメント
専任のリレーションシップマネージャーによる個別化された戦略や世代を超えた資産計画を提供。お客様の資産状況や目標に合わせた総合的なアドバイスが受けられます。
非金融サービス
限定的なネットワークへのアクセス、コンシェルジュサービス、旅行手配、アートアドバイザリー、慈善活動に関するガイダンスなど、お金だけでは得られない価値を提供します。
日本の顧客にとっての
利点と欠点
利点
高度なグローバル市場と商品へのアクセス
資産の地理的分散、通貨分散
専門知識と個別化されたサービス
より高いリターン/利回りの可能性
統合されたウェルスマネジメント
欠点
高額なコストと手数料
高額な最低資産要件
国境を越える規制と税務の複雑さ
言語と文化の壁
限定的な商品提供(クローズドアーキテクチャの場合)
従業員の離職率が高い可能性
潜在的な利益相反
口座開設と維持にかかる時間と労力
これらの利点と欠点を慎重に検討し、ご自身の資産状況や投資目標に照らし合わせて判断することが重要です。特に、高額な最低預入額や複雑な税務手続きは、多くの方にとって大きな障壁となります。日本国内の外資系プライベートバンクを利用することで、これらの欠点を最小限に抑えながら、グローバルな投資機会を享受できる可能性があります。
結論と主要な提言
1
適格性の評価
高い資産基準を満たしているか確認しましょう。米国のプライベートバンクは一般的に500万ドル~1,000万ドル(約8億円~16億円)の最低預入額を要求します。この基準を満たせない場合は、日本国内の外資系プライベートバンクや他の投資選択肢を検討しましょう。
2
専門家のアドバイスを求める
日米両国の税務・法律専門家に相談することが不可欠です。国際的な資産運用には複雑な税務・法的要件が伴います。適切な専門家のガイダンスを受けることで、潜在的な問題を回避し、最適な戦略を立てることができます。
3
長期的な戦略計画を立てる
全体的な財務目標と整合する長期計画を立てましょう。プライベートバンクの利用は単なる「口座開設」ではなく、
「長期的な国際金融パートナーシップの確立」
です。資産保全、成長、相続など、長期的な目標に沿った戦略を構築しましょう。
米国のプライベートバンクを日本居住者として成功裏に利用することは、複雑ですが不可能ではありません。専門家の指導を受けながら、必要な手続きを経て管理可能なシステムを構築することが重要です。積極的で、情報に基づいた、コンプライアンスを遵守したアプローチが成功への鍵となります。